11月に入って「信夫山のゆず」がすっかり黄色く色付いてきました。
かつては「北限のゆず」といわれ、「見た目は無骨だが皮が厚くて香りが強く味がいい」と評判でした。確かに「くだりもの」といわれる、温かい地域で育ったユズは、見た目はきれいで柔らかなのですが、信夫山のユズと比べると味も香りもだいぶ下がります。
信夫山のユズは、「御山のゆず」とも言われ、大わらじ奉納の「暁まいり」のときに、参拝者はユズ湯、ユズ飴、ユズ味噌などを必ず買って帰ったものでした。

 信夫山にユズが栽培されたのには伝説があって、信夫山頂上の羽黒権現様が都からお渡りになったとき、お守りに持ってきたものがユズだったといわれています。御山部落では家の周りにユズを植えて「いぐね」の守りとすることになったのがユズ栽培の始まりだそう。ユズは香気が高く、都では食料にも薬用にも使われ、軒に下げただけでも魔除け・厄除けになるほど効能が高かったといわれています。
信夫山では、江戸初期から栽培されていたようで、昭和元年の資料には栽培430本、産量約10トン、販路は遠く新潟・山形・北海道まで売られていたそうです。現在では、温暖化の影響で岩手県までユズは出来るようですが昔は北限だったのですね。