今回は、信夫山の主(あるじ)といわれた、二匹の妖怪の伝説を紹介しましょう。
信夫山トンネルの北に、「酒のあかい」というお店があります。その脇に「七曲り坂登り口」という看板がありますが、その七曲り坂は飯坂の佐藤庄司が、わざわざ切り開いたといわれる急坂です。
昔々、その七曲り坂には巨大なムカデが住んでいたのでした。そのムカデは、せっかく村人が育てた作物を食い荒らしたり、ときには人を襲ったりと、信夫山の主を名乗り悪さを繰り返していたのです。

 一方、信夫山の南の、現在の噴水公園のところには、巨大なオロチが住んでいて、こちらも信夫山の主を名乗っていました。そこは昔は黒沼といわれた底なし池があったところで、あちこちに動物の骨や、白い人骨が転がっていたといいます。
ある日、この二匹が信夫山の西端の鴉が崎でばったりと出会いました。そして、たちまち激しい戦いとなり互いに傷つけあって、ついに二匹とも滅んでしまったのです。
江戸時代の後期、文久2年に山火事が起きて、その時にムカデの白骨が焼け残っていたのが発見されました。「五月十六日、羽山大権現宮前ヨリ野火発シ、ソノ節焼忙イタセシムカデ、白骨ニテ相残ル 信夫山麓森合村、願主清作」と書いた古文書がちゃんと残っています。
やっぱり信夫山はすごいですね。