信夫山の東端に「岩谷観音」という所があるのはご存じですね? 福島市指定の史跡にもなっていて、それは見事な磨崖仏(まがいぶつ)が60体も岸壁に彫られています。
磨崖仏とは、自然の岩面を半肉仏として彫刻したものです。
昔の人は今よりずっと信心深く、ご先祖さまが仏さまの世界で安楽に暮らせるよう、そして、自分も救われるようにと、一心に祈ったのですね。このような磨崖仏は世界中で見られます。

 さて、岩谷観音は、もともと五十辺地区の豪族であった伊賀良目(いがらめ)氏が、洞窟に聖観音を安置したことに始まりました。福島藩主板倉家の歴代略記によれば、彫られ始めたのは1700年ごろとありますが、びっくりすることにはそれ以後も、明治の初めまで供養仏が彫り続けられたのだそうです。
また、岩谷観音には庚申塔(こうしんとう)も多く立っています。庚申信仰とは中国から来た信仰で、庚申(昔の暦で、かのえさるの日)の夜、人の中に住んでいる三尺(さんし)の虫が、寝ている時に身体から抜け出して、その人の罪料を天帝に告げ口し、天帝はその報告によって人を罰するというのです。だから、昔の人は行いを良くして、庚申の夜は眠らずに過ごしたのだそうです。岩谷観音は隠れた桜の名所、ぜひ一度、訪ねてみましょう。