今回は、門間クラさんが書いた「信夫山ざっとむかし」から、霊華のかんざしをご紹介します。
信夫山には神様がいて、父神様には2人の美しい娘がおりました。
この2人のお姫様は性格が正反対で、姉の信夫は優しくおっとりとしており、妹の出羽は頭が良く少し意地悪な性格だったそうです。
例えば、2人で野山を散歩していると、美しい花を見て、信夫は採りたいけれどかわいそうかなとためらいますが、出羽はさっと採ってすぐその辺にポイと投げ捨ててしまうのです。

 ユズ畑を歩いているときは、朝日に輝くユズを見て、信夫が1つもらってもいいかと迷っていると、出羽がわざと枝をゆすって、肉厚のユズを採ってしまうのでした。
父神様はその2人の様子を見ながら、どちらに神の位を譲るか悩んだのですが、やはり姉の信夫に神の位を譲ることを決めました。
跡目を譲る時には、「神のみ印」である霊華のかんざしを渡すことが決められており、それを受け取った信夫は、うれしくて、胸にそれを抱いたまま昼寝をしてしまいました。
しかし、出羽がそれを奪ってしまったのです。出羽はそのかんざしを抱え、出羽の国に行き御山を開ました。出羽の人々がたくさん信者になったそうです。
(続く)