今回も門間クラさんの「信夫山ざっとむかし」から足尾神社のお話です。
江戸時代の後期、信夫山には、狩野派の絵師で西坂楳山(ばいざん)と名乗るおじいさんがおり、周りからとても尊敬されていました。
当時は、貧しい農家が多く、農民たちは疲れで足腰の痛みに悩んでいましたが、休む暇がありませんでした。
そんな折、三重県の伊勢参りの話が持ち上がり、楳山も含め、5~6人の一行で数カ月かけて歩いて旅をしました。何とか無事、参拝が済んだのですが、楳山は、足の痛みで起き上がることができなくなり、皆を先に信夫山に帰しました。

 そんな夜、白い着物を着て、つえをついた白髪の老人が夢枕に立ち、「この近くに『足尾様』と呼ばれる足の神様が居るのでお参りをするがよい」と言ったそうです。夢のことが気になって夜中に起きて探してみると、そこに足尾神社がありました。お参りをしたところ、不思議に足の痛みは取れてしまいました。
神様に、お礼を言った楳山は、痛みに苦しむ信夫山の人にも伝えたいと、お札を持って帰り、信夫山羽黒神社の脇に、足尾様の小宮を建て、祀(まつ)ったのでした。
それからというもの、足腰が痛い人がお参りをすると痛みが取れると評判を呼び、それでお礼にワラジを奉納するようになったのだそうです。